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DXとは何か
DXとは、「デジタル技術を利用してビジネスモデル変えたり、新たな顧客体験価値を提供する」といったものです。広い意味では、データの電子化や業務プロセスの改善などにも使われます。
つまり、DXとは業務改革であることが多いです。
例えば本を出版している企業がタブレットで本が見れるように電子書籍のアプリを開発する。といった感じです。
この場合、本の作者の伝えたい内容を提供するという本質的な価値は変わらないのですが、読者が何冊も本を持ち歩く必要は無くなり、タブレット一つでどこでも本を読むことが出来るといった、新しい顧客体験を提供することが出来ます。
出版社が、本の内容に関して作者とすり合わせを行う業務に変わりは無いですが、物質的な本で読むことから、電子的なタブレットで本を読むという媒体の変化が発生する為、製本を司る部隊の業務がガラッと変わることになります。
製本業務(製本会社との折衝を含む)→ 電子書籍のアプリ開発業務(アプリ開発会社との折衝を含む)
という風に業務内容が変わる為、部隊の人員がそのままスライドする場合、アプリの開発もしたこともなく、アプリ開発会社とのやりとりに苦労することも多々あるでしょうし、業務が無くなることから、他の部隊に異動になることもあります。
社内でDXがなぜ進まないのか
上記のように、今までずっと製本業務を行っていた人がアプリ開発会社と折衝することになるというシステムエンジニア的な業務に変わってしまう事で、能力的な不足の部分もありますし、やりたかった仕事が出来なくなるということもあるでしょう。
こうして、現状維持バイアスが強く働き、社内での反発を生むことや業務改革をしたくないという社員がたくさん発生するのは容易に想定できます。
意識調査の結果
日経新聞の記事で、こんな内容がありました。
電通が国内企業の従業員を対象に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入や働き方改革など社内の業務変革に関する意識調査を実施したところ、約9割が変革の動きについていけないといった不安を感じていると回答した。
↓リンク
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC274IY0X20C22A4000000/?n_cid=kobetsu
…まぁ、ですよねって感じです。
経営者としては、市場に対して新しい価値を提供したり、企業としての持続的な成長を図って業務改革を行いたい訳です。不採算な事業を縮小したり、より価値のある業務に従業員を異動させたい訳ですね。
従業員としては、自分の担当している業務を変えたくない訳です。
意識改革への対応策
ここで、どうすれば業務改革に対する従業員の意識を変えることが出来るかを考えます。
会社の向かう将来像を示す
まず、競合他社がどんな事業の転換を行っていて、海外ではどんなサービスが流行っていて、自社の経営理念や強みは〇〇で…。経営状況は…。といった分析をします。
その結果、現状の姿(As Is)とあるべき姿(To Be)についても示し、自社はどうなっていくべきだという道筋を示します。
どの業務が変わるのか、収益構造をどう変えていくのかなど、多面的な分析と綿密な計画が必要です。
この説明で納得する従業員もいるかもしれませんが、元々変革意識の高い従業員だけかと思います。
組織改革について示す
組織がどう変わり、配置転換がいつどうやって行われるのか、スキルが足りなければどう教育するのか、といった既存人材への配慮を行い、実現可能な案を練ったうえで従業員に伝えます。
この実現可能なという部分がミソであり、元々製本部隊だった人に対して3か月でシステムエンジニアになってもらうといった、絶対に無理な案を提示しないことです。
業務の転換期は既存業務と新規業務の両方の負荷がかかる上、やったことのない業務に対して心理的な負荷もかなりかかります。
なので、場合によっては教育係兼事業推進ができるような人材を社外から受け入れたり、業務委託をすることも検討すべきです。
経営者主導の強い推進力で進める
管理職が強い推進力でマネジメントを行い、部下のモチベーションアップと自立的な行動を支援することはもちろんですが、特に中小企業では経営者主導の推進力が必要です。
ビジネスモデルを変えるような業務改革の場合、会社の今後を左右するようなものですから、経営者は強い推進力をもって進める必要が有ります。
従業員に報いる
正直ここかなと思います。
新規事業に転換することを決めるということは、そこに対して綿密な事業計画や明るい将来像を見越した上での決断だと思います。
収益構造が改善する前提で事業計画を立てていると思いますが、実際に上手く業務改革を行えた場合は、従業員の生活に直結するように従業員に報いることが必要だと思います。
例えば、
・残業時間を減らして、従業員の賃金を上げる
・有給休暇消化率を引き上げる
・福利厚生を充実させる
・在宅勤務やリモートワークなど、働き方に柔軟性を持たせる
・改革に対して強い推進力で進めてきた従業員を評価し、重要なポストに配置する
・魅力的なコア業務に従事する可能性を増やす
といった内容です。
業務改革が従業員に対しても旨みのあるように、計画を立てることが大事ですね。
お読みいただきまして、ありがとうございました!